洗濯物畳みロボットのためのインテリジェントワークベンチの開発

近年、高齢化等の影響により様々な家事を自動化し、人間の負担の軽減をすることの需要が高まっています。しかし、家事の中でも洗濯という家事作業は、頻度や負担が大きいが、全自動洗濯機において洗濯、乾燥までしか自動化されておらず、その後の畳むという作業までは自動化されていません。従来の産業用ロボットが作業対象としてきた剛体とは異なり、布という柔軟物体を作業対象とすることが難しいからです。
衣類の展開、分類の既存研究で多く用いられているのが、ロボットアームです。ロボットアームは布に対して有効なアプローチをすることができますが、自由度が多くなるほど処理工程が多くなり、作業完了までの時間がかかってしまうという問題点がありました。そこで、私の研究ではロボットアームを用いずに布のたわみ解消、展開を行うデバイスである「インテリジェントワークベンチ」を提案しました。
インテリジェントワークベンチは、距離画像取得センサXtion、ファン、ワークベンチから成っており、Xtionから取得した布の厚さデータによって、ワークベンチ部分に設置されているファンの送風方向と回転速度を制御するデバイスです。これにより、人間が行っているたわみを解消する動作を再現することができると考えました。
インテリジェントワークベンチにより布のたわみ解消、簡単な布展開を行えることを実験的検証により確認しました。現在では、ファンの角度を布のたわみの形状に応じてリアルタイムで変化させることにより、たわみ解消にかかる時間がどのように変化するのかということを実験しています。この手法は、洗濯物畳みロボットによる畳み作業の短縮に繋がる技術であると考えています。
 

主な発表論文

  • 市川聖弥,五十嵐洋:“洗濯物畳みロボットのためのインテリジェントワークベンチの開発”, 日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会’17, 1A1-I04, 2017/05/11.
  • 市川聖弥, 五十嵐洋:”布のたわみ解消を行うインテリジェントワークベンチの開発”, 第34回日本ロボット学会学術講演会, 2B1-05,2016
  • 市川聖弥, 五十嵐洋:”布のたわみ解消を行うインテリジェントワークベンチの開発:たわみ解消制御の実験的検証”, 日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会’16, 2P2-09a4, 2016
  • 市川聖弥, 五十嵐洋:”布のたわみ解消を行うインテリジェントワークベンチの開発”, 日本機械学会情報・知能・精密機械部門講演会(IIP2016), G-3-1, 2016
  • 市川聖弥, 五十嵐洋:”布のたわみ解消を行うインテリジェントワークベンチの開発”, 電気学会知覚情報研究会, pp.33-36, 2015
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