指先動作への力覚提示による道具操作の熟達支援

ヒトは指と道具、道具と接触する物体との力のバランスを考慮することで、道具を巧みに扱います。こうした動作は繊細な力加減が求められるため、得意不得意が存在します。そのため、動作の向上を目的とした熟達支援システムが提案されています。しかし、従来の熟達支援システムでは、道具本体のみにアプローチした手法が多いため、指先の力加減が考慮されておりません。

そこで、本研究では指先にアプローチすることによる熟達システムを提案します。今回の手法では、道具操作の中でも日常生活で使用される筆記動作に注目をしました。筆記動作において、達筆であるほど最低限度の筆圧で筆記することが知られています。また、筆圧と握力には正の相関があることが知られています。このことから、筆記中の握力を弱める方向に力を提示することで、筆記動作の熟達が可能であると考えます。

この筆記動作の熟達をするシステムとして、モータを用いたワイヤの引っ張りによって指先に力を提示する装置を構成しています。このシステムを用いて、力の提示による筆記精度、握力、筆圧への影響やその相互関係について調査を行っています。この調査を踏まえて、指先への力の提示による筆記動作の熟達支援システムの構成を行います。

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