熱刺激を用いた覚醒補助がもたらす睡眠慣性抑制効果の検証

 睡眠不足は作業効率低下の原因の1つと言われています.睡眠不足の対策としては適切な睡眠時間(7から8時間)の確保が挙げられるが,働きすぎである現代人にとってその時間の確保は難しいです.そこで注目されているのが仮眠です.仮眠とは数分から2,3時間程度の睡眠のことを指し,睡眠不足に伴う作業効率低下の抑制に効果があることが分かっています.しかし,仮眠は取り方を間違えると睡眠慣性が発生してしまうリスクがあり,かえって作業効率を低下させてしまう恐れがあります.そこで,本研究では睡眠慣性抑制のための新しい方法を研究しています.

 睡眠慣性は深い睡眠状態からの起床により発生します.そこで,本研究では睡眠と体温の関係性に注目し熱刺激を用いた覚醒補助装置を作成しました.この装置はペルチェ素子を用いた熱刺激装置となっていて,仮眠者の足の両裏に対して熱刺激を提示します.この装置により睡眠慣性の抑制を目指します.

 研究成果としては,仮眠中の冷却の熱刺激による睡眠慣性の抑制効果を示唆することができました.現状は主観的評価のみで睡眠慣性を評価している.今後は客観的評価からも評価し,睡眠慣性低減効果による作業効率の上昇を目指しています.

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