複数の発光・受光素子を用いた高速・高分解能視線計測デバイス開発

本研究では、人間の視線に着目し、非常に速い眼球運動を捉えるためのデバイス開発を行っています。

人間は80%以上の情報を視覚から得ています。近年では視覚は人間の注意や関心といった心理的な部分を含め、様々な情報を知るための重要な手がかりとして注目されています。普段の生活からはあまり想像できないかもしれませんが、車内カメラから視線を計測し、運転者の眠気状態を判断したり、インターネット等を使用している際に操作者が画面上のどこに注目するのかを、視線から解析し情報抽出をするシステムやデバイスが開発されています。その他にもマウスやキーボードに替わる新しい入力インタフェースとしての実用化も期待されています。

前述した視線計測技術の使用例ですが、基本的にカメラと画像処理技術の組み合わせにより実現されています。カメラにはフレームレート(fps)と呼ばれる性能指標があり、この値が高いほど1秒間に取れる動画のコマ数が多くなります。近年では非常に高いfpsを持つカメラも登場していますが、60fps程度が一般的とされています。

視線計測機器の性能はカメラの性能に準ずることになりますが、眼球運動の中には60fpsでは撮影する事が不可能な非常に速い動きが存在しています。現在の視線計測技術では、このような高速眼球運動はノイズ(不必要な情報)として処理されています。しかし、視覚情報は非常に多くの情報量を含んでいることは周知の事実であり、高速眼球運動発生時の知覚情報が人間に存在していることが先行研究により明らかにされています。

そこで、私の研究では高速眼球運動を安定して検出できる視線計測法の新規理論提案及びそれに基づいたデバイスの開発を行っています。

赤外線LEDを使用し、眼球の白目、黒目からの光反射率の違いを利用して眼球の位置を推定する手法を提案しています。この手法にはカメラ及び画像処理技術を一切必要としないため、応答速度が非常に高くなります。また、複数の素子を使用する構成にしたことにより分解能の飛躍的な向上も期待されます。(画像 L:発光素子、R:受光素子)

提案手法

瞳孔中心推定手法

 

研究成果として、提案した新規計測理論の検証を行い、高速眼球運動を計測することが可能な高応答性を持つことが示されました。現在の課題としては、計測精度改善に向けた取り組みと、3次元空間における視線計測を可能とするための、新たなデバイス機構の設計及び実装回路の開発を行っています。

 

実験結果

実験結果

3次元計測用デバイス

開発中3次元計測用デバイス

 

主な発表論文

  1. 天野陽平,五十嵐洋:”複数の発光・受光素子を用いた高速・高分解能視線計測デバイス開発”,日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会’17,2P2-M09, 2017/05/12.
  2. 天野陽平, 五十嵐洋: “複数の発光・受光素子を用いた高速・高分解能視線計測デバイス開発”, 第21回 知能メカトロニクスワークショップ(IMEC2016) 講演論文集, pp. 273-276, 2016/8/29.
  3. 天野陽平, 五十嵐洋: “複数の発光・受光素子を用いた高速・高解像視線計測デバイス”, 日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会’16, 1P1-12a6, 2016/06/09.
  4. Yohei Amano and Hiroshi Igarashi: “High Speed Gaze Tracking System with Multiple Light-emitting Elements,” The 2016 RISP International Workshop on Nonlinear Circuits, Communications, and Signal Processing, 9PM1-1-2, 2016/03/09.
  5. 天野 陽平, 五十嵐 洋: “複数の発光・受光素子を用いた高速視線計測デバイス開発”, 電気学会知覚情報研究会, pp. 29-32, 2014/08/10.

複数の移動ロボット間での機械学習の共有による適応制御の効率化

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